天翔けり行く幾百のくるぶし。/明日は戀なき者にも死。/明日は戀ある者にも死。/音のない手拍子、天の逆手。」『死者たちの群がる風景』の半ばに現れるこの衝撃的な言葉は、入澤康夫氏の黙示録の断片である。空海の「秘蔵宝鑰」序とネルヴァルの「東方旅行記」と、そしてを底に沈めた「二十一世紀へのアポカリプス」とも呼ぶべき稀有の起爆的詩句であつた。輪アツィはこれを魂魄に銘じて世紀末に生きてゐる。