文壇において、編集者は男、書く側は女である。この男と女のしがらみを写した物語は数ある。大村彦次郎は、男として、敬愛する男を描いた。大村の「男たち」をなつかしむ気持が、切実に伝わる。「女」だったぼくにもよく判り、かつ羨ましい。