作者の手料理には、ストイックな皿に余剰を削ぎ落とした言葉が鮮やかに並んでいる。日常の料理が詩論や美学や世界への誘いであるような詩篇は、洒落ていて、特別に美味いと思った。生き方や社会との関わりにも及ぶストイックで知的な作品群には、感覚的で豊饒ないのちが隠されていて、随所に現れる太陽の〈黄色〉は、その意味できわめて暗示的だ。