私が生物学者の卵だった頃、分類学というのは古色蒼然とした学問で、分類理論はとっくの昔に確立されているものとばかり思い込んでいた。ところが少し首をつっ込んでみると、現代分類理論は泥沼で、それだけに思考法の転回を含むような、面白い話がゴロゴロしていることもわかってきた。この本はそういう面白さ話を、一般の人にもわかる言葉でのべたものである。分類という思想が孕む知の深さを、是非味わっていただきたい。