(1)原発事故が最も露わにしたのは「人の心」だった。これが西島君とぼくとの共通認識。不安への依存、反体制が孕む不寛容。迷妄が科学や思想の装いを取ること。「除染と除霊」という、オカルトと接続した言葉は、まさにそこを突いているのではと思う。(2)みんなこのマンガがダイレクトに「原発」をめぐる物語だと無前提に信じているっぽいけど、本当にそれで大丈夫だろうか? 西島大介だよ? きゃはっと笑って人を刺す男ですよ? 実は原発の話ではありませんでした~ってオチが待ってないともかぎらない。(3)ひとは放射能を「こわい」という。安全・危険を「信じる」か否かが問われる。これって超常現象や心霊に対する態度と似すぎじゃ? と思ってたところに「除霊と除染」。これには虚をつかれました。一方、何はともあれ「反原発」と叫んでいれば安泰なサブカル界隈で、西島大介ははたして批評性を維持しうるのか?