いわゆる甘いマスク、エレガントな風貌の、その奥に燻ぶる荒魂は、郷里を同じくする中上健次の影響にもよるらしい。「葉ずれみな言の葉となる五月かな 裕樹」と詠む人の言葉への思いは、こんなに敬虔で、広くて愉しくて、重い。