演出家中心の上から下への演劇が新しいアンサンブルに生まれかわるためには、何をおいてもまず俳優の復権が必要である。本書は、このような俳優復権のための大きな武器の役割を果してくれる。その上『世界は舞台、人間は役者』(シェークスピア)であってみれば、日本の政治や舞台を三流芝居にしてしまう演技力の不足を反省するためにも、本書は芝居以外の多くの人々にこそ読まれるに価するのではなかろうか。