笹森貞二氏は長く教育の世界ではたらいて来た人であるが、コチコチの教育者型ではなく清濁あわせ呑む柔軟な精神の持主だ。「土の声」は笹森氏の第三の随筆集であるが、教育者としての体験やら見聞やらを、肩のこらない達筆で書き流したものである。題材は堅いもの柔らかいもの、さまざまだが、それらを通して教育者の姿勢が伺われるのはさすがである。