…モノクロの写真のそんな絵はがきを、大学の同僚の研究室の本棚に見つけたのは、夏休みに入ってまもないころだった。写真の構図や角度もたしかにおもしろいが、いったいこの男たちがどういう種類の人間なのか、それがいかにも不可解で、私はアメリカ人の同僚に、絵はがきの由来をたずねた。裏面を見て、はっとした。そこには、マリオ・ジャコメッリという写真家の名につづいて、わたしには手がない/やさしく顔を愛撫してくれるような…という、私のよく知っている、通いなれた道のように私の中に生きつづけている詩行が読めたからである。