驚異博物館三つの標本箱がある。名づけて「澁澤龍彦コレクション」。ここには無定形なものは何一つない。夢ならあくまでも夢のかたちであり、エロチシズムは畸形学や天使学を通じて整然たる博物誌的構図に配置され、冷たく明るい古典主義的感性のセレクターを通して選びぬかれた、さまざまの情念の結晶体が硬質の輝きにきらめく、これは稀代の目利きが創出した、夢、物体、エロチシズムの三位一体からなる驚異博物館である。