いまから十数年前、私は観松院の弥勒菩薩像を拝観する機会にめぐりあった。ひと目でその仏像が大変古いものであり、また、まれに見る優品だということに気づいた。どうしてこれだけ優れた仏像が安曇野の松川村にあるのか、ずっと気になっていた。本書をきっかけに、安曇野の歴史や安曇族、渡来仏に対して興味を持つ人が増えてくださり、仏像研究や古代史研究の裾野が広がれば望外の幸せである。