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推薦者: 森達也

1999年4月20日にコロンバイン高校で起きたことについては、何となく知っているつもりだった。なぜなら多くの記事を読んだ。テレビのニュースでも特集されたし、その後にはこの銃乱射事件をテーマにした映画も何本も作られた。いじめられっ子であるエリックとディラン。スポーツが苦手で成績もあまり良くない。影響を与えたテレビゲーム。あるいは音楽。徒党を組むトレンチコート・マフィア。校内のエリートたちに二人が抱いていた反感と嫉妬。……でも本書を読み、自分が何も知っていなかったことを知らされた。だからこそ読んだ今は思う。銃を乱射しながらエリックとディランは、何を思っていたのだろう。学友たちを次々に射殺しながら、何を願っていたのだろう。そして自らの頭蓋を撃ちぬく瞬間、何を祈っていたのだろう。本書もまたひとつの視点であり、その意味では全貌ではない。全貌などわからない。でもきわめて多角的で矛盾に満ちた視点であるからこそ、より事実に近い全貌であることは確かだ。

ISBN: 9784309205458
帯文種別: (未設定)
ID:3102