不条理で重厚なテーマを辛辣に、しかも気品高く描いて見せることでは、棹見拓史の右に出る者はいないだろう。理不尽が氾濫する時代だからこそ、言葉の毒がそれを上回らなければならぬと、固く信じているのに違いない。