驚いた。この本に僕の心がいきなり鷲掴みにされてしまったからだ。題名から単なるゼロ戦の話かと思ったが、とんでもない。息をつかせぬ展開、予想もつかぬ最後のどんでん返し。戦争の真実、愛の力を見事に描き出した冒険譚にして最高のミステリーに僕は狂喜した。このような本に出会ったのは初めてだ。国家が個人を押しつぶそうとする中で、死と向き合いながら妻との約束を果たそうと闘い続ける主人公・宮部の姿に、僕は幾度も心の中で泣いた。ここには、時をも超えた本物の「大人の愛」がある。これはまさに「今」の物語、あなたの物語なのだ。