この世には二通りのマンガ家がいる。マンガの描き方本を読むマンガ家と、読まないマンガ家だ。かつて「天才マンガ家入門」というマンガを描いた私がいうのだから間違いないが、ウエケンは日本一のマンガの描き方本マンガ家である。読んだマンガの描き方本五万冊。そんなにはないが、マンガの描き方本の変遷はそのままマンガの変遷でもあり、つまりこれは回りくどい形で書かれた優れたマンガ史であり、マンガ論なのだった。