ページをめくるたびに人々の声が聞こえてくる。壁に閉じ込められた悲痛な叫びも、家族や友と穏やかに暮らしたいという願いも。男は、赤ん坊を天に高々と掲げる。女はトマトを収穫し、お茶を入れる。祖先から続いてきた生活を静かに繰り返す。それがパレスチナの希望であり、人としての誇りだとでもいうように。ここに収められた写真は、心に「壁」や「国境」も持たない人間同士がお互いに心を開き、交わり合った記録でもある。同時に、写真家が感じ取った平和への思いでもある。パレスチナの人々は親しみを込め、彼女のことを「ミカ」と呼ぶ。