高倉健は、けして器用な役者ではない。映画で演じるキャラクターが高倉健のなかに入ったら、起こる事件に対して高倉健が反応する。まずキャラクターが体の中にストンと入る。入ったからと言ってすぐに動き出すことはできない。そうするうちに入ったものが高倉健の中で溶けだしていく。そこから演技が始まる。