猿丸俳句の世界はクリアである。そこにはゆがみや濁りは見られない。徹底した描写を通して、俳句の世界に新しみをもたらそうと努めてきた。時には人として在ることの苦しさや、人を恋うことの痛みまでが匂うのも魅力である。すでに新人として認められている作者だ。待望の句集『点滅』の刊行が、さらなる飛躍につながると確信している。