巻頭の遠野紀行で早くも快哉を叫んだ。そこには本書のルーツと著者の意気込みが、時に切々と時に力強く黙示されていたからだ。古代中国の志怪書から『遠野物語』を経て現代へ至る奇譚探究の幽暗な伝統を、骨がらみで我が身に引き受ける覚悟─―群雄割拠の怪談実話界にまたひとり、凄い書き手が加わった