一読、驚愕。優れた怪談は巧まずして人生の真実を垣間見せるものだという私の持論を、雄弁に証し立てるような逸品ぞろいではないか。怪奇な詩情と恐怖への殉情そしてほろ苦い人の世の哀しみ……生きることに疲れ気味な大人の読者にこそ、深夜ひそやかに堪能していただきたい、これは極上の美酒にも似た物語集である。