この病気の方に実際にお会いした印象は今でも忘れられない。そして、知れば知るほど、あまりに文学的な病いであることに驚嘆した。無意識に「わたし」の都合でまとめられる人格と、そこからはみだし解離していく「わたし」たちの物語を、私は何年かかっても書きたいと思った。現代は解離の時代である。