僕が思うに、今の社会には、ラカンじゃなければ解けないことがあまりにも多い。なるほど、ラカンの言葉は、たしかに悲観的でニヒリスティックに響くときもある。でも、幻想に取り込まれずにものを考える出発点としては、けっして悪くない。癒しも幻想だけど、絶望はもっと幻想だ。(…)僕は覚醒していたい。幻想と現実がどんどん接近しているようにみえるこの世界で、できるだけリアルに生き延びたい。そのためにも僕たちには、いまこそ「ラカン」が必要なのだ。